アラスカドライブの旅 15日間
2010年7月15日(木)‐29日(木)

 冷戦時代、日本の飛行機はソ連上空を飛べなかったため、ヨーロッパへ行くには給油のため約1時間ほどアンカレジに立ち寄り、その後、北極上空を飛んでいました。帰りもまたアンカレジに立ち寄りました。そのため、アンカレジ空港へは過去、何度ともなく降りたことがあります。しかし空港内から見えるわずかの景色だけしか体験できませんでした。
 その代り、いろいろな季節でアンカレジに立ち寄ったため、紅葉の美しさや、冬の雪景色も何度か見たことがあります。また、数回ですが、北極上空を飛行中にアナウンスがあり、機内からオーロラを見たことがあります。
 今回の旅は、昔から、ぜひアラスカを旅してみたいと思っていたのと、アメリカ国立公園ドライブの一環としても行きたいとも思っていたためでした。

 

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 アラスカは1867年、当時のアメリカの国務長官スワードがロシアから現在に直すと約100億円で買収に成功しています。当時は無駄使いと非難されましたが、その後、金鉱が発見されるなどして繁栄し、1959年、アメリカの49番目の州として昇格しています。
 人口はわずか66万人で、そのうち、26万人がアンカレジに住んでいます。
 面積は日本の4.5倍もあり、アメリカでは最大の面積を有する州になっています。
 1968年、アラスカ北部のブルドー湾で油田が発見され、1977年にはブルドー湾からヴァルディーズまでパイプラインが建設されるなどして大きく発展しました。
 アラスカ中央部には東西にアラスカ山脈が横切り、アメリカ最高峰のマッキンリー山(6194m)があります。
 アラスカは未だ未開の地が多く、幾つかの国立公園に行くにも、道路がなく、飛行機を使う状態です。

 



 実際にドライブしたルートを赤線で示しました。
 宿泊場所は数字に○の順です。
 下の表にも示しましたが、ドライブした距離は 3,981kmでした。

 

宿泊場所 ホテル名 観光内容 km 歩数
1 Anchorage Quality Inn & Suites Airport 成田→ポートランド→アンカレッジ 5 4,021
2 Seward Bestwestern Edgewater Hotel ホーマー経由スワードへドライブ 653 13,608
3 Whittier Inn At Whittier イグジッド氷河トレイル 183 15,981
4 Anchorage Quality Inn & Suites Airport 26Glacier Cruise 102 8,818
5 Valdez Bestwestern valdez Harber Inn マタヌスカ氷河散策 507 14,291
6 Valdez Bestwestern valdez Harber Inn コロンビア大氷河クルーズ 0 8,440
7 Denali Denali River Cabins デナリまでドライブ 606 8,762
8 Denali Denali River Cabins デナリミニハイキング 68 14,185
9 Denali Denali River Cabins バスにて公園内観光 50 8,368
10 Fairbanks Best Western Chena River Lodge フェアバンクス周辺ドライブ 508 7,613
11 Fairbanks Best Western Chena River Lodge フェアバンクス周辺ドライブ 389 9,310
12 Anchorage Quality Inn & Suites Airport アンカレッジまでドライブ 774 9,508
13 Anchorage Quality Inn & Suites Airport アンカレッジ周辺観光 132 13,768
14 飛行機の中 アンカレッジ→シアトル→成田 5 5,517
15 成田到着
ドライブマイル、キロメートル 3,981



       

1日目 成田からアンカレジへ。3時間遅れで無事到着。

 冷戦時代、アンカレジへはたくさんの飛行機が飛んでいましたが、今は、日本からの直行便は全く無くなっています。
 ただし、夏の数日だけ、いろいろな旅行社が連合し、JALの臨時直行便を飛ばしていますが、個人旅行の利用は無理なようです。
 今回は、デルタ航空を利用しましたが、行きは成田からポートランド経由で、帰りはシアトル経由となりました。地図を見ていると、行きも帰りもアンカレジ上空を飛んでいることが分かります。
 ポートランド行きの飛行機は、成田を 15:30 に出発し、ポートランド到着が 8:45 で、飛行時間は約9時間でした。機体はB767で座席の並びが 2-3-2 とゆったりとしており、これならエコノミークラスで十分という感じでした。予定ではポートランド空港で約4時間過ごし、12:35 発、アンカレッジ到着 15:20 でしたが、出発便が3時間も遅れ、その結果、7時間も空港内で過ごしました。ポートランド、アンカレジ間の飛行時間は約4時間で、アンカレジ到着は午後6時20分でした。






アンカレジに到着

 飛行機は活火山のリダウト山を横に見て、アンカレジのあるクック湾の上空を飛び、高度を下げて行きます。飛行機から見るアンカレジ沿海は、どんよりとして薄暗く、今までに見たどの海とも異なっていました。
 


 アンカレジ空港のレンタカー会社は空港の中にあり、便利で助かりました。何時ものように Hertz にチェックインしましたが、頼んでいた車は飛行機の到着が3時間も遅れたためかカーナビが付いていないとの事。しかし、カーナビは必須なので付いている車を探してもらったら、どうやら1台だけあるとのこと、車はトヨタカムリの前輪駆動車でした。これなら問題ありません。
 ホテルは空港からわずか3kmのところにあり、カーナビには載っていませんでしたがすぐに分かりました。カーナビのソフトはどうもかなり旧そうでした。
 ホテルの料金は約120$とかなり安かった割には、部屋の広さは抜群でした。このホテルを含め、今回泊まったホテルのインターネットはどこでも無料でした。



       
2日目 アンカレジからホーマー市へまでドライブ、その後スワードへ 
 
 今日の宿泊地はスワードですが、スワードはアンカレジから210kmぐらいの所にあり、8時に出発しても11時頃には到着してしまいます。このようにアンカレジに近いところに宿をとったのは、体調を考えてのドライブの為でした。一般に到着した次の日は時差もあって、すぐに眠くなり、長距離ドライブはかなり危険になります。
 ただし、昨日は宿への到着が夕方で、その後、すぐに寝たため、時差はだいぶ取れていて、寄り道をしながらドライブすることにしました。
 とりあえず、アンカレジからスワードに向かいます。スワードはアラスカを買い取った国務長官スワードの名前が付けられています。 



 朝、8時ごろホテルを出発。州道1号線を南下です。残念ながら、朝から曇り模様です。



アラスカ鉄道

 アラスカ鉄道はアンカレジとフェアバンクス、アンカレジとウィッテア、アンカレジとスワードの3路線を結び、夏の間だけ1日1往復走っています。たまたま、アンカレッジからスワードもしくはウィッテアに向かう列車が走って来ました。見るとたくさんの乗客が窓から腕を出し写真を撮っていました。



All-American Raod

 ドライブしていると、どこまでも美しい景色が続きます。
 このルートは由緒ある All-American Road に認定されています。



キーナイ半島ドライブ
 
 キーナイ半島には巨大な氷河や国立公園、フィッシング場などがあり、アンカレジから近いこともあり、アラスカでも有数の観光地になっています。
 ドライブしていると、ところどころに大きな湖があり、車を留めることが出来るようになっています。
 ウィッテアやスワード近くはチャガック国立森林公園に指定されています。
 



クーパーランデング Cooper Landing

 アラスカでのマス釣りといえば、このキーナイ川が最も有名だそうです。ドライブしていると、大公望たちを見つけました。 この川の支流のロシアン川も有名だそうです。Catch and Release の看板が立てられていてました。


 湾の向こうは、クラーク湖国立公園で、公園を代表するリダウト山が見えます。3090mの活火山です。この公園に行くには、道路が無いため、船になるそうです。



 美しい風景が続きます。 



Homer Alaska Island & Ocean Visitor Center

 
 ホーマーはスターリング・ハイウエイの終点で、海釣りのメッカとして知られています。
 小さな町の割には大きく立派なビジターセンターがあり、トイレ利用を兼ね、立ち寄ってみました。
 丹念に見学すると数時間はかかりそうです。
 



ホーマー・スピット Homer Spit

 ホーマー・スピットは約8kmにわたり、海に向かて延びる砂州で、終端の道路の両側にはレストラン、ホテル、キャンピングカーの駐車場などが連なっています。


 1号線を離れ、スワードに向うと、道路は、細長い湖に沿って走ってゆきます。下の写真の様な湖が幾つも現れます。



スワードに到着
 
 スワードは人口約3000人ととても小さな町ですが、キーナイ半島東岸では最大です。とりあえず、ホテル前の大通りに車を停め、チェックインです。通りには、2時間以上の駐車禁止と書かれた標識が立ってあり、フロントで駐車場はどこかと聞いたところ、駐車場は少し遠くにあり、ここは小さな町で、駐車違反のチェックをしている人は居ないので、そのまま停めておいても問題なとのこと、それを信じて、朝まで停めておくことにしました。
 駐車する時、前輪を縁石にぶつける様に止まったら、バンパーを傷つけてしまいました。普通、縁石にタイヤをぶつけて止まる癖がついていますが、このように車高の低い車の運転は不慣れです。
 もっとも、車両保険に入っているので、傷を付けても料金は変わりません。そのためか、返却する時、車の傷のチェックなどは一般に全くありません。車両保険はかなり高くつきますが、安心してドライブできます。
 今までに、車を何度も借りていますが、このように傷を付けたのは初めての経験でした。


 夕食にはまだ早いので、ホテルの周りを歩いてみました。スワードは細長い湾の奥にあるので、海と言うよりは湖に面しているように感じます。


 ラッコもたくさん泳いでいました。 


 遠くに観光船が見えます。アラスカとアメリカ本土のシアトルを結ぶ定期観光船も走っているようです。



         
3日目 ケナイフィオルド国立公園観光、その後、ウィッテアへ
 
 今日はスワード近くにあるエグジット氷河を訪ね、その後、スワードの水族館を見学し、ウィッティアに向かいます。



スワード市内見学

 朝食後、市内を散歩してみました。
 スワードは典型的な漁業と観光の町です。たくさんの漁船や釣り船、ボートが停留しています。キーナイフィヨルド国立公園のビジターセンターもこの町にありました。人口はわずか 2,600名です。
 町の中央に大きな駐車場があり、ここにも駐車は2時間までと書かれていました。でも、車を監視している人は居なそうです。ここでは駐車する人の善意に期待しているようです。




アラスカ鉄道スワード駅

  アラスカ鉄道がアンカレジとスワードを結んでおり、ここが終着駅になります。運行は5月中旬から9月中旬までと書かれていました。
 時刻表は表示されていませんでしたが、1日に1便しか無いそうです。




キーナイフィヨルド国立公園

 キーナイ半島の東側の一部分が国立公園に指定されています。公園内にはたくさんの氷河がありますが、陸から行ける氷河は、エグジット氷河のみで、それ以外は観光船を利用して行くことになります。私たちはエグジット氷河のみの観光でした。




エグジット氷河 Exit Glacier

 スワードから21kmぐらいの所にある氷河で、その麓もまで舗装された小道があり、誰でも簡単に行けるようになっています。


 氷河を見るのに幾つものルートがあり、私たちは車椅子でも行けるような簡単なルートで行ってみました。往復1時間ぐらいでした。氷河の上の方に行くには、険しい道を上り、往復9時間ぐらいかかると書いてありました。
 1815年当時から、現在まで、氷河が後退している様子が描かれていました。



アラスカ・シーライフ・センター
 アラスカ近海に住む生物を集めた海洋生物水族館ですが、1989年、エクソン・バルディーズ号の原油流出事故の賠償金で作られたそうです。
 非営利団体による運営だそうですが、入園料金は一人21ドルでした。ヒトデなどを触ってみることも出来ました。



 昨日通った道を逆に進みウィッティアへ向かいます。昨日もそうですが、午後になると天気が良くなるようです。



 自転車で来ている人、大きなキャンピングカーで旅行をしている人など、色々です。


 道路の両側には赤紫色の花や、北海道でよく見る白い花などが満開です。この花がアラスカの風景を際立てています。
 

 アメリカをドライブしていると、約1時間おきぐらいにこの様なトイレが設置されています。
 利用したついでに、少し周りを歩いてみました。お花畑が満開でした。
 
  



 美しい風景が続きます。



Anton Anderson Memorial Tunnel

 ウィッティアに入る少し前に、何やら料金所があり 12ドル取られました。国立公園への入園料かと思ったら、トンネル通行料でした。ウィッティアに行くには、このトンネルを通るしかないようです。
 このトンネルは、一方通行の上に、アラスカ鉄道との共用で、1時間中に 15分のみ通行可能となります。そのため、最悪、45分以上待たされる計算になります。かなり長いトンネルで、通り抜けるのに10分ぐらい掛りました。トンネル内は停車禁止で、最高速度は 40km/h と書かれていました。
 このトンネルはアラスカ鉄道が作り、昔は鉄道が車を載せて運んでいたそうです。2000年にこのトンネルの改修を行い、車が線路の上を走れるようにしたそうです。列車優先のため、1時間以上も待たされる場合があるようです。普通列車は1日1往復ですが、臨時列車や貨物列車などはけっこう走っています。


 トンネルを抜けるとすぐにウィッティアにの町に到着しました。極めて小さな町ですが、この町が氷河クルーズの発着所になります。
 昨日、スワードで見たと同じような大きな観光船が停まっていました。
 ホテルを探してもカーナビには載っていないので、トンネルの入り口で貰った地図を頼りに探したら、町の一番入口にある、かなり由緒ありそうなホテルでした。もっとも、ホテルは他にあまりなさそうです。アンカレジから近いので、わざわざこの町には泊まらないのかも知れません。


 ホテルの窓からは港が見えます。先ほどの観光船が出てゆきました。夕食はホテルのレストランにしました。



      
4日目 プリンスウイリアムサウンド湾、氷河クルーズ 

 アラスカでの氷河クルーズと言えば、このプリンスウイリアムサウンド湾のクルーズが最も有名なようです。その基地となるのが、アラスカから約100kmの所にあるウィッティアとなります。ウィッティアは人口がわずか200名程度のとても小さな町です。
 このウィッティアで3つの会社がクルーズ船やフィッシング船などを運行していますが、シーズンになると満席になるとのこと、私たちは前もってインターネットで 26Glacier Cruise というクルーズを予約しておきました。
 このルートには26の氷河があるそうです。

26Glacier Cluise




 夜中の2時ごろ目を覚ましました。白夜の為か、湾はうっすらと明るくなっていました。




 朝方、手漕ぎボートが4隻ほど湾から出てゆきました。



 クルーズ船の出向は12時半でなので、午前中は街中を少し見学しましたが、天候が悪く、11時までホテルに時間をつぶしました。とにかく小さな町でした。


 クルーズ船は座席指定で、その上完全満席でした。幸い、私たちは並びの2席で、外もよく見えました。5時間のクルーズなので、時々、椅子にもどり、体を休める必要があります。食事が付いていて、お湯やコーヒーは無料でした。



 出発して間もなく小さな島の近くを通ります。アザラシがたくさん寝転がっています。



 狭い湾にも入ってゆきます。浅海で一番危険な場所だそうです。何か海辺に居るそうですが、分かりませんでした。


 ラッコがたくさん寝転がっています。ラッコはイタチ科ですが、アラスカや千島列島、カリフォルニアなど北の地域に生息しています。ほとんどを海上で過ごすそうです。
 流氷がたくさん流れて来ます。氷の比重は0.9なので、流氷の大きさは海面の9倍もあるそうです。タイタニック号のようにならない注意して運行するそうですが、時々氷河にぶつかり、船は大きな音を立てます。


 船は3時間ほどして、氷河の近くに到着しました。ビルの高さに相当する氷河が流れ出ています。大きな氷が崩れ落ちると、ものすごい音を出します。この地域をプリンスウイリアムサウンドと言いますが、サウンドは氷河が崩れ落ちる音から付けられたそうです。なお、プリンス・ウイリアムとは後にイギリス国王ウイリアム4世の子供の時の名前から来ています。
 船は約30分ほど、この近くを転回していました。その間、氷河が崩れ落ちる大きな音を何度も聞くことが出来ました。
 


 幾つもの氷河を廻っているので、区別が付かなくなりました。


 外は寒いので、時々室内に戻ります。



 残念ながら、雨交じりの天気になり、外に居ると相当寒く感じます。 



 誰が数えたのか、この島には海鳥が10万羽も居るそうです。



再び、アンカレジに向かう
 
 船は5時半に到着しました。トンネルが開通するのは6時から6時15分までなので、クルーズ船はそれに合わせて運行しているようです。
 ちょうどアラスカ鉄道がトンネルから出て来ました。列車が通り過ぎてしばらくして、通行が始まりました。



       
5日目 アンカレジからヴァルディーズへ。途中、マタヌスカ氷河散策

 プリンスウイリアムサウンドにあるコロンビア大氷河を見学するにはヴァルディーズへ行く必要があり、今日は約500kmのドライブです。
 途中、マタヌスカ氷河を歩いてみました。




 今朝も朝はどんよりとしています。今日は長距離ドライブの為、朝食後すぐに出発です。州道1号線に沿って東に向かいますが、道路は総じてマタヌスカ川に沿って上流へ走っています。




マタヌスカ氷河

 アンカレジから約3時間もドライブしたころ、遠くに氷河が見えて来ました。
 

 

 道路わきにマタヌスカ氷河の看板が出ていたので入ってみました。トイレと駐車場があり、簡単なトレイルの地図が掛っていました。



 このトレイルは一週でも40分程度なので歩いてみることにしました。とにかくドライブ中は運動不足になるので、出来るだけ歩くようにしています。残念なが、氷河は遠くてそれほど良くは見えませんでした。


   マタヌスカ氷河に近づくには、入場料金を払って私有地を通る必要があり、一人20$取られますが、シニア割引があり、私たちは一人15$でした。小さな土産物を兼ねた小屋で入場料を支払うとゲートが開き、その先は、ダート道路ですが、美しいお花畑が開いています。
 なぜかこの氷河は閑散としています。氷河の駐車場に向かう途中に、小高い丘があり、行ってみると、ベンチが置いてありました。ちょうど昼食時なので、ここで食事です。私たち以外には誰もいませんでした。
 この氷河の長さは43km、幅は平均で3.2km、私たちが目にする末端の幅は6.4kmです。
 アラスカには車で近付ける氷河がたくさんありますが、このマタヌスカ氷河が最大だそうです。
 この末端の位置はここ400年間、ほとんど変わっていないとのことです。
  



 専用の駐車場から氷河までゆっくりと歩いて約30分ぐらいでした。
 親に付き添われた小学生ぐらいと思われう子供がアイスクライミングをしていました。
 



 小さな坂を上ると目の前に突然、湖が現れました。その感動は忘れられません。素晴らしい光景です。
 


 ゆっくり注意深く歩いて帰りました。クレバスの危険があり、人もほとんどいないこともあって、充分なる注意が必要です。




 州道1号線から、このマタヌスカ氷河を下に見下ろすことが出来ます。



 再び、ヴァルディーズに向かって進みます。毎日、午後になると天気が回復するようです。




ワーシングトン氷河 Worthington Glacier

 ヴァルディーズに向かう道路はどんどんと標高を上げ峠へと向かいます。その為か、天候が急に悪くなりガスって来ました。
 氷河が突然目の前に現れました。折角なので寄り道をすることにしました。道路から数百メートルも行くと氷河への駐車場やトイレがありました。
 まったく誰もいません。氷河に近づく道もあるようですが、危険そうなので、舗装されたトレイルを歩くだけにしました。
 再びヴァルディーズに向いましたが、峠は完全に霧に覆われ、ライトを点けながら注意深く運転です。



 峠を降りると霧が晴れ、また、美しい風景が現れました。
 

 夕方、無事、ヴァルディーズに到着しました。ヴァルディーズはアンカレジから492kmで、通常なら7時間だそうです。
とりあえずホテルを探してチェックインでした。小さな町なので夕食はホテルのレストランにしました。



            
6日目 コロンビア大氷河クルーズ
  
 今日はヴァルディーズ2連泊とゆっくりです。クルーズ船の出発は12時なので、午前中はゆっくりと市内見学です。

   アンカレジから492km、車で7時間の所にあります。
 この町は、フィヨルド沿岸で水深が深く冬でも不凍のため、アラスカ内陸との重要な輸送基地として栄えて来ました。
 しかし市の北部にはチュガッチ山脈 があり、北からの冷たい風と海からの暖かい風がぶつかり、アラスカでも非常に降雨降雪量が多い地域となっています。それがゆえに、アラスカ最大の氷河地域ともなっています。
 1974年から北極海のブルドー湾とこの町を結ぶパイプラインの建設が始まり、町の人口は急増しました。現在の人口は4,500人です。
 原油は、この港から船で運ばれて行きます。
 水産業や水産物加工業も発達しています。
 


 今日も朝は霧に覆われ、山は良く見えません。小さな観光と漁業の町なので、歩いて市内を見学しました。
 連泊するホテルは Bestwestern valdez Harber Inn で、かなり部屋数の多いホテルでした。


 いろいろなクルーズ船がヴァルディーズはから出ていますが、私たちは6時間半乗船のクルーズを前もってインターネットで予約しておきました。


 このクルーズ船は比較的小さく、自由席です。良い席を取りたいので、11時頃から列に並びました。ちょうど12時に出発ですが、完全満席でした。
 船が出発すると、早速、ラッコが見えて来ました。



 運転席には自由に出入りできます。船員がいろいろな案内をしています。動物を探しながら運転しているようです。
 時々、雨が降って来ます。そうするとベンチに席を取った人も、全員が室内に移動します。



 たくさんの漁船が仕事をしていました。 


 船は小さいので、浅瀬の所も通ります。ワシがいるようです。
 



 流氷にはたくさんの海鳥がとまっています。イルカらしき魚が泳いでいます。


 島にはたくさんのアザラシが棲んでいます。

 
  

 この寒いのに、半袖の青年が3名いました。1名は船員で運転席で案内していた人です。赤いシャツと薄緑のシャツを着た青年も半袖です。
 どこから来たのかと聞いたら、ペンシルベニア州からだと言っていました。仮に私が半袖で10分も居たら、心臓麻痺になりそうです。
 人間は訓練すると、誰でもこの様になれるのでしょうか。


 遠くにコロンビア大氷河が見えて来ました。ただし、船は危険なため10kmの所までしか近付きません。氷河は遠くに棚のようになって見えるだけでした。
 コロンビア大氷河は長さ55km、幅は約5km、氷の最も厚い部分は915mもあり、海に流れ込む部分の高さは海面から76mもあるそうです。


 
 船が港に帰り付く頃、船員が氷の塊を持ってきました。
 私たちの前に座っているご夫婦と3歳になる娘さんはポーランドから来たと言っていました。なんと1年間かけて世界中を旅行しているとのこと、驚きました。
 アザラシが港近くの標識灯で休んでいました。
 船は予定より少し遅れ、港に帰ってきたのは午後7時15分頃でした。




       
7日目 ヴァルディーズからデナリ公園へ向かう 

 いよいよ今日からアメリカ最高峰のマッキンリーを抱くデナリ公園へ向かいます。600kmの長距離ドライブです。
 アラスカの中央にはアラスカ山脈が東西に走っています。
 今日走るデナリハイウェーはそのアラスカ山脈を北に望み、また、そこから流れ出た水はスーシトナ川となりアンカレジのあるクック湾への注いでいます。



 今日も朝は雨模様です。一昨日、霧の中を通ってきたチュガッチュ山脈を越えて行きます。今日もここは霧の中でした。
 ここからデナリ公園へ行く路をカーナビで検索すると、アンカレジ経由で行くように指示されます。しかし、道路地図を見ると、デナリハイウェーを通るのが早そうです。一応、ホテルのフロントで確認したところ、デナリハイウェー経由を推奨されました。


 途中、Copper Center の案内標識が出ていたので、行ってみました。数件の土産屋などがありましたが、まだ、朝も早いのか、誰も居ませんでした。
 アラスカは金鉱山とともに、銅も産出されたそうです。



ランゲル・セント・エライアス国立公園
          Wrangell-Saint Elias National Park


 ヴァルディーズから北へ向かう4号線のすぐそばに、ランゲル・セント・エライアス国立公園のビジターセンターがあります。トイレ休憩を兼ね、寄ってみました。この国立公園は、とにかく広く、イエローストーン公園が6個分もあるそうです。園内にはアメリカで2番目に高いセント・エライアス山や、アメリカの高峰16のうち9つもあるそうです。また、アメリカで最大級のBodey氷河もここにあります。
 今回は時間がないので、ビジターセンターを訪ね、その周りを歩いてみました。ところどころに案内板が立てられ、山々の名前などが書かれていましたが、今日は曇っていて何も見えませんでした。


 今日は600km近く走りますが、レストランらしいところは全くありません。昼食はガソリンスタンドでインスタントラーメンを買い、熱湯をスタンドで頂き、そこのベンチで取りました。シナモン入り菓子パンも買ってみました。アメリカではシナモンがいろいろな食品に使われているようです。



 4号線を北上してゆくとパクソン湖の側を通ります。


 いよいよデナリハイウェーに入りました。車はどんどんと標高を上げて行きます。美しい山岳道路です。
 トイレの脇に、デナリハイウェーに付いての案内板がありました。
 デナリハイウェーの北にはデナリから続くアラスカ山脈が控え、そこから流れ出す幾つもの氷河が見えます。



 しばらくすると道路は未舗装になってしまいました。ハイウェーといっても未舗装です。
 カーナビにはこの道路が入力されておらず、Uターンせよと何度も警告がでます。
 道路わきに美しい湖があったので立ち寄ってみました。入口にはプライベートと書かれていましたが、あまりにも美しいのでお邪魔しました。
 誰も居ませんでした。


 途中、学生たちが先生に引率され、どこかのキャンプに行くのでしょうか、リックを背負って歩いていました。
 高地の為でしょうか、天候が目まぐるしく変わり、雨になったり青空が見えたりします。
 車は泥だらけになってしまいました。
 
 


 見晴らしはどこまでもよく、尾瀬ヶ原の中に作られた高速道路を走っている感じです。


 
 夕方、デナリ公園近くにあるホテルに到着です。ここで3泊します。なんとも粗末な部屋ですが、私たちは川に面した部屋を頼んでいました。
 そのためか、1泊が300$と部屋の狭い割には非常に高くなっていました。小さなテレビに頭を何度かぶつけてしまいました。
 



 夕食のため、デナリ公園村に出かけました。小さなショップがたくさん続いていました。




      
8日目 デナリ公園ハイキング

 今日は、特に予定を立てておらず、とりあえず、デナリ公園へ行って、どこか適当にハイキングをする予定です。
 真夜中に目が覚めたので、部屋の前のネナナリリバーを覗いてみました。白夜に近く、明りがなくても歩くことが出来そうです。
 アメリカでのホテルは全て朝食が付いていました。朝食のついでに、ホテルの周りを散歩しました。雪解け水の流れは結構早く、ここではボート遊びのラフティングが盛んなようです。

 デナリ公園は四国ほどの広さがあり、アメリカの最高峰 マッキンリー山6194mをひかえ、アラスカではもっともよく知られた国立公園です。
 大自然、動物を保護するため、一般車はビジターセンターから24km地点までしか入れず、その先は、有料のバスで行くようになっています。
 なお、1984年2月、登山家上村直己さんが、厳冬期単独初登頂に成功後、下山時に遭難し行方不明となりここで死亡しています。 




 今朝も曇りですが、時々青空が見えます。デナリ公園はホテルから10kmぐらいの所にあります。
 まずはビジターセンターを訪れ、公園の見どころを案内係に聞いてみました。ビジターセンターでは、約20分のデナリ公園の紹介映画が上映されていました。何といっても、秋の紅葉が美しそうです。
 

 犬ぞりの訓練センターが公園内にあり、無料バスが訓練場との間を走っているとのこと、行ってみました。
 10時から、約40分ぐらい、犬の訓練方法や犬ぞりを引くデモンストレーションが行われました。
 全ての犬は鎖でつながれていましたが、柵があって近付けない犬と、誰でも触れる犬が各々の犬小屋の上で休んでいました。犬にとって、夏は休養とバケーションの時期だそうです。 
 何匹かの犬が選ばれ、そりを引くように繋がれると、犬は興奮し、合図を待っています。犬には先頭を走るリーダー犬、最後を走る監視犬など、それぞれの役目があり、一人前の犬に育てるには2年以上かかるそうです。
 訓練センターの数名の女性は半袖でした。はやり寒いところで育った人は寒さに強そうです。
 


 とりあえず、行けるところまでドライブしてゆくと、一般車は進入禁止となり、10台ほどしか駐車できない小さな駐車場があります。
 満車なのでしばらく待って、駐車スペースを確保してから、適当に歩き始めました。動物にはあまり近付かないようにとの警告版が掲げられていました。
 

 アラスカ山脈から流れでる Savage River が Nerali River へと合流してゆきます。幸い天気も良いので、川に沿って下流への歩いて行くことにしました。ラウンドルートと書かれていたので、どこかに橋があり、川を渡って戻ってくるのが想定できます。あまり遠そうだったら、引き返せば、問題ありません。
 


 たくさんの小動物に会いました。 



 約30分も歩くと、予想通り橋が架けられていました。 


 橋を渡ってこのまま引き返しても良いのですが、山の中腹にドールシープが居たので、登ってみることにしました。


 約30分ぐらい登ると、見晴らしが素晴らしくなって来ました。



 ドールシープが山の中腹に見えます。


 帰りがけ、ドールシープの一団がこちらに歩いてきます。しばらく睨めっこをしていると、羊はルートを変え、私たちに道を譲ってくれました。仮にこの角で腹を刺されたら、一発で裂かれそうです。

 お花畑が続く小道が続きます。約2時間後、駐車場に戻って来ました。どんよりとした天気になって来ました。


 デナリ公園を出て3号線を走り、ホテルに向かう途中に何度か Nenara River を横切ります。
 この近くの地形の説明板が掲げられており、それによると 「地形の性格を知るには、男女間の関係のように、時間と忍耐が要る」と書かれていました。前方左方に氷河によって削られた崖が見えます。5万年前、ここは池だったそうです。



         
9日目 デナリ公園 バスツアー 
  
 デナリ公園のバスはすぐ満席となるらしく、前もってインターネットで予約をしておきました。行き先は公園の奥の Wonder Lake にしました。ビジターセンターから140kmも奥にあり、往復12時間もかかります。公園に入ると食べ物は売っていないので水と食料は持って行くようにと掲示されていました。
 バスは30分おきに出ていますが、一番早い5時半にしました。地球の歩き方によると、左側の座席が良いとあり、良い席を取るため、4時半にはビジターセンターに到着しました。なんと一番乗りでした。雨が降っていましたが、並ぶことにしました。ただ、誰も居ないので、濡れても大丈夫なリックを乗り場においておきました。
 苦労のかいがあって運転席の真後ろの窓側の席を確保しました。家内は私の後ろの席の窓側でした。
 結果的にこれは大成功でした。バスの右側は山が近くに見えるだけです。左側には広大な公園が広がっています。右側に座っても、帰りは見晴らしが良くなるはずですが、結果的に帰りは雨でほとんど見えませんでした。




 バスの運転手がいろいろとマイクで案内しています。乗客が大きな声でストップと言うと、バスは急停車です。ムースが居ます。遠くて良く見えませんが、良く見つけるものです。 


  
 バスはなんとも堅苦しいスタイルです。休憩のため、1時間半ぐらい走ると、トイレのある広い駐車場に停まります。

 鹿の群れです。



 道路はバスしか走らないように設計されています。



 景色の良いところで休憩です。羊が寝転んでいます。

 




 途中、小さなビジターセンターがありました。とにかく寒いです。 



 羊や、シカ、クマ、餌をくわえたオオカミなどが遠くに見えます。


 動物が見えるのは、ほとんどが道路の左側なので、窓際の人は、私を含め、窓ガラスを上げたり下げたり大変です。たまたま、右側に動物が見えました。たしかに、窓際に座らないと、良く見えません。



 鹿の群れです。



 約7時間後、ちょうどお昼頃、ワンダーレイクに到着しました。残念ながら、霧で何も見えません。
 バスはここで30分、休憩のために停車しました。


 帰り、途中のビジターセンターに寄り、30分ほど休憩です。霧で何も見えませんが、ビジターセンター内に晴れた時の写真がはられていたので、写真に収めました。センターの案内係に、ここはどの程度晴れる日があるのかと聞いたところ、データーを見せてくれました。マッキンリー全体が見えるのは7月では1日しか無いそうです。それも1日中晴れているわけではないので、よほど運が良くないと全体が見える時に出くわすのは難しそうです。


 
 また、熊に出会いました。ライチョウらしき鳥も居ます。アヒルが道を横切っています。バスはその間、じっと停まっていました。


 遠くに羊が見えます。誰かが見つけるとみんなが見つめますが、よく見つけるものだと感心します。


 立派な角を持ったトナカイ(カリブー)もいました。
 




           
10日目 フェアバンクス周辺観光  

 今日はデナリ公園からフェアバンクスに向かい、その郊外を見学し、その後、出来るだけ北へ向かってみました。
 
   アラスカ第二の都市フェアバンクスは、位置的に見るとアラスカ中央に位置していますが、ここから北は広大なツンドラ地帯が続きます。
 フェアバンクスは、オーロラ観測の基地として知られ、白夜が終わる9月から3月までに、天気が良ければ、オーロラを見ることが出来るそうです。ただし、雨や曇り、また、雪も多く、オーロラが見えるかどうはは、かなりの運次第のようです。
 フェアバンクスは1902年に始まったゴールドラッシュ以来、アラスカ鉄道の開通や、パイプラインの建設など、アラスカ発展に大いなる貢献を果たして来ています。


 今朝も、ホテル前のネナナ川では、ラフテング用のボートを用意していました。さすがアラスカです。毎日、たくさんのお客が来るのでしょうか。
 

 デナリ公園から3号線を北上してゆくと、道路工事に出会いました。アメリカではどこでも [Stop] と [Slow] です。日本の棒を器用に使い誘導するより、はるかに合理的です。
 至る所に山火事のあとが見えます。火事情報の掲示があり読んでみました。それによると、「山火事は 2010年6月10日、フェアバンクスの南西10マイルのタナナ川の南側で発生しました。雨や寒さにより山火事の勢いは弱まり、火災の規模は6,180エーカーに止まっています。消防隊は、パトロールなどを行い、注意深く、今後の状況を観測していますが、これ以上拡大しないようならば、火災に関する掲示はこれが最後になります。詳しくはインターネットの火災情報をご覧ください」と書かれていました。わずか1か月前に発生した山火事のようです。かなりの広範囲で、火事はモザイク状に発生しているようです。毎日、雨ばかりの様な天候でも山火事が発生するのか不思議です。


 フェアバンクスには午前中に到着したので、郊外をドライブしてみました。


アラスカ縦断原油パイプライン

 北極海沿岸のブルドーベイから不凍港ヴァルディーズまで、1300kmにわたって布設されています。途中、3つの大山脈を越え、大小800もの川を渡っています。地上では温度による伸縮を抑えるため、ジグザグに布設されています。また、永久凍土が融けるのを防ぐため半分以上は高架に作られています。
 1974年に工事が始まり、1977年に完成しています。オイルを送り出すために、途中、11か所にポンプが設置されており、また、パイプの状態を内部から監視するため、ピグと言われる回転体がオイルと一緒に流れて行き、パイプの内面をバッテリ駆動の超音波により観察記録しています。
 産出量は1990年に最大となり、現在はかなり減少しています。 展示場は無料で、パイプラインのパンフレットも無料でした。


金採掘場NO8
 
パイプラインのすぐ近くに金採掘場跡の看板があったので入ってみました。駐車場には一台も停まっていません。車を止めると、作業者風の人が出て来て、予約してきたのかと聞かれ、立ち寄って見たと答えたら入場料は昼食込みで22$と言われました。とりあえずOKと言い入ってみました。
 食堂に案内されましたが、従業員がたくさんいる割にはお客は一人も居ません。何か不思議な風景です。驚いたのはその後で、続々と観光バスが押し寄せ、食堂がいっぱいになりました。ほとんどの人は観光バスで来るようです。
 フェアバンクスはオーロラ観測の基地ですが、人口が3万人と小さな町で、夏場は見どころがないようです。こんなにたくさんの人が見学に来るとは驚きました。



 昼食後、現地のガイドさんに案内され、採掘場後を見学しました。この採掘場は1930年から1960年にわたって稼働したそうです。近くの採掘場から鉱石をここに運び込み、電気モーターで動く巨大な掘削機で石を粉々に砕き、金を集めたようです。
 このあたりをドライブしていると、ところどころに、金を探して掘り出した跡が見えます。
 一攫千金を求めて、アメリカ本土から、この人里離れた寒いアラスカへ、船に乗り山を越えたくさんの人が押し寄せましたが、今、南アフリカでは仕事を求めて、多くの人が、金鉱山で働いています。現在の南アのドキュメンタリーを見ていると、昔のアメリカの様子の理解が深まりそうです。
 


 出来るだけ北へ、出来たら北極までドライブしたいと思い、とりあえずLivengood まで行ってみました。しかし、廃墟の様な家があるだけでした。ここからパイプラインの北端、ブルドーベイまで道があるはずですが、立看板がかかっていて、「万一のことを想定し、十分な装備の元に北へ向かう事、と書かれていました。道路状況や、ガソリンスタンド、ホテル、レストランなど十分調べてから行く必要があるそうです。私たちは、ここで引き返すことにしました。
 実際の所、どこまでドライブしても景色はほとんど同じですし、ここから北は未舗装になります。たぶん、想像ですが、ロシアのシベリアをドライブしても、ここと同じで、どこまで行っても同じような景色が続くのかも知れません。
 一応、ドライブした最北端なので証拠写真を取っておきました。


 さすがアメリカです。家ごと引っ越しか、何か特別なものの運搬のようです。両方の車線を占有して走って来ました。これではこちらが路肩に停まって道を譲るしかありません。




 パイプラインです。アラスカをドライブしていると、ところどころで見ることが出来ます。




      
11日目 フェアバンクス周辺ドライブと市内見学


 今日はフェアバンクスから東に向かい、昨日行った Livengood よりもより北のCircle まで行く予定でしたが、途中で引き返し、Chena 温泉とフェアバンクスの市内を観光しました。


 とにかく Circle 市まで行ってみようとフェアバンクスを出発です。途中、金鉱山跡と思われる看板があったので入ってみました。全くの廃墟のようですが、お土産屋がありました。



 この辺も山火事があったようです。昨日見た山火事とは全く別な火事です。
 しかし、しばらく走ると、舗装が切れてしまいました。どうしようか迷ったのですが、どこまで行っても昨日 Livengood へ行った時と同じような風景が続くので引き返すことにしまして、舗装されている Chena 温泉に行ってみることにしました。
 

 チェナ温泉に向かう途中、ムースが突然飛び出して来ました。こちらも驚きました。時々、ムースと正面衝突し、車が大破する場合があるそうです。

 

 アメリカの温泉もカナダの温泉と同じで、水着で入浴するようです。大きな室内プールも有りました。
 この温泉は年中無休で、冬はオーロラ観測のお客で賑わうそうです。


 フェアバンクスに戻り、ビジターセンターを訪れ、町の見どころを聞いてみました。ぜひ、パイオニア・パークを見学するとよいと言われました。



パイオニア・パーク

 アラスカ建設の歴史公園で入場は無料でした。アラスカをロシアから買って100年になる1967年に、それを記念した建設されたとのことですが、いずれも新しい設備でした。フェアバンクスを中心とした開拓史が展示されていました。



      
12日目 フェアバンクスからアンカレジへ戻る
 
   アラスカの観光もほぼ終わり、アンカレジに戻ります。。
 フェアバンクスからデナリ公園までは、すでに一昨日走っていますが、デナリ公園からアンカレジまでは初めてのドライブで、運が良ければ、マッキンリー山を見ることが出来るはずです。
 フェアバンクスからアンカレジまでは 590km で、途中の休憩を入れても、9時間もあれば到着する予定です。



アラスカ鉄道

 出発して間もなく、アラスカ鉄道がオイル運搬車が走って来ました。かなり長い連結車でした。精製されたガソリンなどが運ばれて来るのかもしれません。
 


ネナナ Nenana

 フェアバンクスから1時間半ほど南下すると、ネナナの町を通ります。ちょっと立ち寄って見ました。アラスカ鉄道の駅舎がありますが、今は博物館になっていて、列車は通るものの、停車はしないようです。
 ネナナ川はネナナから来ているのでしょう。ネナナ側はこの町でテナナ川と合流し、大型船が走れるゆっくりとした流れになってゆきます。
 小さな教会があったので中を見学してみました。かなり歴史ある教会です。



 こちらの道路工事は数kmにわたって車を止めてしまいます。その為30分ぐらい待たされることがあります。

 再び、デナリ公園の入口に戻って来ました。数日前に泊まったホテルからラフテングして来たのでしょうか。ボートが下流に向かっていました。



 晴れていたら、マッキンリー山が見えるはずです。マッキンリービューというホテルがありました。
 



 アンカレジまであと160kmぐらいの所にデナリ州立公園があります。ここからも、晴れていればマッキンリー山が良く見えるようです。この公園の案内板の中には、第二次大戦中、日本のゼロ戦がここに不時着し、戦闘員は死亡したましたが、ゼロ戦はサンディエゴの空軍基地で復元研究され、その優れた戦闘能力は高く評価されたと書かれていました。
 アンカレジに到着するころには、雨がかなり強くなってきました。まだ、5時前でしたが、アンカレジからの下りの車線はかなり混雑していました。何時もそうですが、アメリカでは、4時ごろになると帰宅の車で道路が混雑します。



 もうすぐアラスカ旅行が終わるので、今日は典型的なアラスカレストランに出かけました。かなり混雑していました。



        
13日目 アンカレジ周辺ドライブ 
 
 いよいよ明日は帰国で、観光は今日が最後になります。アンカレジ市内はあまり興味が無いのでアラスカ郊外の観光をすることにしました。幸い天気は良さそうです。
 午前中はアンカレジから北、80kmの所にある金鉱山跡を、午後はアンカレジの南、28kmの所まで行ってみました。

 北へ向かう途中、わざと高速道路を降り、旧道を走ってみました。
 突然、小熊3匹を連れた母熊が道路を横切りました。私たちの車に驚いて、一匹の小熊が取り残され、必死に親熊の後を追いかけて行こうとしています。車の中なので良いのですが、このあたりを歩くのには注意が必要です。
 
 
 川はアンカレジのあるクック湾への流れて行きます。雪解けの水はかなりの水量です。何やら、子供たちがスクールバスでここまで来て、何か勉強していました。

 川べりはお花畑でした。美しさに圧倒されます。


 この辺りは住民がたくさん住んでいるのでしょうか、たくさんのポストが置いてありました。
 



 パーマー市を通り、インディペンデンス金鉱州立歴史公園へ向います。
 道路は標高をどんどんと上げ、山を上ってゆきます。
 


 

 山を上ってゆくと、何か動物がいるようです。車を止めて写真を撮りました。良く見つけるものだと感心します。



インディペンデンス金鉱州立歴史公園
       Independence Mine State Historical Park

 この金鉱では1906年から細々と砂金がほられましたが、1938年になると大規模な採掘がはじまりました。しかし、5年後の1943年にはほぼ掘り尽くされてしまいました。この公園にはたくさんの説明板が設置されていて、当時の状況を解説しています。
 それによると、この鉱山内では、州の法律が適用されず、独自の掟のもとに運営されたそうです。
 周りには草木の無い高山が続き、今はハイキングの基地にもなっています。



エクルートナ湖 Ekkutna Lake
 帰り、エクルートナ湖に立ち寄ってみました。細長い湖ですが、道路は入り口で終わっていました。


 再びアンカレジに戻り、今度は南に向かいました。アラスカに来て2日目に通った道ですが、美しい湿地帯があったのでもう一度、行ってみることにしました。
 アンカレジを横断する場合、バイパスが無いので必ず市内を通りますが、高速道路は信号のある一般道路に合流してしまうので、何時も渋滞しています。不便な道路設計です。




ポーター沼野鳥保護区

 アンカレジから南に16kmほど行ったところに野鳥保護区があり、歩いてみました。無料の望遠鏡が備え付けられていましたが、鴨くらいしか見つけることが出来ませんでした。この湿地帯は、アラスカ鉄道の線路を作った時、川が堰き止められ、湿地帯が形成されたそうです。



ベルーガ・ポイント

 さらに南下すると、アラスカ鉄道沿線に駐車場があり、車を停め、少し坂を下り、海辺に近付いてみました。
 この付近は、世界でも有数の潮の満ち干の大きなところで、その差は10mにも達するそうです。今は干潮時のようで、海は泥沼のようでした。足を入れると非常に危険だそうです。


 近くにアラスカ鉄道の補修場があり、使用済みのラッセル車が置いてありました。アラスカではラッセル車が必須なのでしょう。




              
14日目 アンカレジからシアトル経由成田へ。 

 帰りも同じデルタ航空ですが、今度はシアトル経由です。
 アンカレジ発は7時半と朝早い便なので、ホテルを5時半に出て、空港到着は5時40分でした。
 シアトル乗継とはいえ、国際便での帰国になるので、チェックインに30分も掛ってしまいました。早く来て正解でした。
 なんと今朝は朝日が見えます。アラスカに来て初めての朝日でした。どうも皮肉です。
 シアトルとの時差は1時間あり、到着は12時少し前でした。

 

 シアトル出発は予定通り14:00で、飛行機は再びアラスカ上空近くを飛び、成田到着は午後16:45でした。





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